「好きだから」という気持ちを免罪符にして、相手の人生に土足で踏み込んでくる人たち【神野藍】
神野藍「 私 を ほ ど く 」 〜 AV女優「渡辺まお」回顧録 〜連載第45回
【自己と他人との境界線】
自己と他人の境界線を見誤ることなく、それぞれの関係性に応じて適切な距離感を持って接するのが普通のことだ。どんなに親しい間柄でも相手との境界線を易々と踏み越える行為は称賛されるようなことではないし、ましてや「好き」という気持ちで、しかもそれを免罪符のように掲げて、相手の人生や時間に踏み込むことはあってはならないことだ。たとえ、画面の向こうにいる人間だとしてもだ。
沈黙することが解決だと思っていたが、最近は屈したくないといった気持ちが強くなった。身勝手な人間の行為に私が振り回される義理はないし、見過ごすことによって生み出された恐怖を繰り返したくない。
こんなことを綴っても、私の表面しか見ていない人間からまた同じような言葉が送られてくるのだろう。少しばかりの絶望を感じながらも、私は毅然とした態度で接するだけである。
(第46回へつづく)
文:神野藍
※毎週金曜日、午前8時に配信予定